災害・停電に備えるポータブル電源の選び方|容量・出力・安全性をやさしく解説

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地震や台風による停電に備えて、「ポータブル電源を1台用意しておきたい」と考えていませんか?

でも、実際に調べ始めると「容量」「出力」「正弦波」など、聞き慣れない言葉が並んでいてよくわからない……。

この記事では、防災用としてポータブル電源を選ぶ際のポイントを、できるだけ専門用語を使わずに、やさしく解説します。

目次

なぜ防災にポータブル電源が必要か?

停電が長引くリスク

地震・台風・大雨などの災害では、電気の復旧が最も遅れるライフラインのひとつです。

  • 2018年(平成30年) 北海道胆振東部地震では、北海道全域でブラックアウト(全停電)が発生。復旧には約2日以上かかりました。
  • 2019年(令和元年)の台風15号(千葉)では、最大で93万戸が停電、復旧までに1週間以上かかった地域もあります。
  • 2024年(令和6年)の能登半島地震では、真冬に停電と断水が重なり、情報・暖房・冷蔵保存に苦労したという声が多数。

停電は「一時的」ではなく、数時間〜数日以上の覚悟が必要な現実的リスクです。

スマホ・照明・冷蔵庫など最低限の生活インフラ維持に役立つ

スマホが使えなくなると、被災状況や避難情報が入手できず、不安と混乱を増幅させます。

  • 地震直後はテレビやネットに頼れず、ラジオやスマホが命綱。
  • しかしスマホも、充電が切れればただの重り
  • SNSや安否確認アプリ(LINE・Google)も、電池がなければ使えない

スマホ・モバイルルーター・ラジオなど、情報源を確保するためには継続的な電源供給が必須です。

電気があるだけで「生活の安心度」が大きく変わる

電気が使えるかどうかは、不安を減らし、生存確率を上げる非常に重要な要素です。

電気で動くもの(防災用に必要とされるもの)

機器用途・重要性
スマホ安否確認、情報取得
LEDライト夜間の明かり、安全確保
モバイルWi-Fi通信手段確保
扇風機夏場の熱中症対策
電気毛布冬の低体温症予防
ポータブル冷蔵庫食材や薬の保存
ラジオローカル情報の受信
電動歯ブラシ・補聴器高齢者や要介護者の生活維持

これらはどれも命に関わる最低限の生活を支えるものです。

モバイルバッテリーでは代用しきれない

「スマホ1台の充電」はモバイルバッテリーで対応可能でも、家族全員・複数台・家電までは到底まかないきれません。

充電デバイスモバイルバッテリー(10,000mAh)ポータブル電源(500Wh)
スマホ(約3,000mAh)約2〜3回分約10回以上
LEDライト約10時間50〜100時間以上
ノートPC不可または1回程度2〜5回以上
小型家電×○(電力次第)

防災=個人の備えではなく、家族単位の備えを考える必要があります。

特に「子ども・高齢者・障がい者」がいる家庭には必須

日常生活に支援が必要な人ほど、電気が止まると生活の継続が困難になります

  • 認知症の高齢者は暗闇でパニックになることがある
  • 冷蔵保存が必要な薬(インスリンなど)の保管ができなくなる
  • 子どもが怖がって泣き止まない(照明があるだけで安心)

これらは、1台のポータブル電源がカバーできます。

備蓄としての「長期保存性」「使い捨てでない安心」

  • 一度購入すれば、数年間保存可能(半年〜1年に1度の再充電を推奨)
  • 非常時以外でも、アウトドア・在宅ワーク・電気工事時などに活用できる
  • ソーラーパネル併用で、停電中でも再充電が可能

「使い捨ての備蓄」ではなく「使える備蓄」として理にかなった投資になります。

ポータブル電源の選び方

Jackery本体定価
(税込)
容量
(Wh)
定格出力
(W)
UPS重量
(kg)
充電
(時間)
DC入力
(W)
充電
(サイクル)
公式サイト
100Plus15,900円99.21000.9651.81002000詳細を見る
300Plus39,800円28830020ms3.7521003000詳細を見る
600Plus86,000円632.380020ms7.312004000詳細を見る
1000Plus168,000円1264.64200020ms14.51.7400×24000詳細を見る
2000Plus285,000円2048.8300020ms27.92700×24000詳細を見る
※Plusシリーズ

比較がしやすいので、Jackery Plusシリーズを例に考えていきます。

容量(Wh)の目安

ポータブル電源の容量と使い方は、だいたい以下のように分かれています。

容量の目安想定される用途消費電力の目安(W)使用可能時間の目安
約100Whスマホ・LEDライト・ゲーム機5〜20W程度スマホ充電3〜5回/LEDライト数時間
約300Whモバイルルーター・小型扇風機20〜50W程度扇風機で4〜8時間前後
約600Wh電気毛布・ポータブル冷蔵庫50〜100W電気毛布8〜10時間/冷蔵庫1日程度
約1000WhノートPC、テレビ、やや大型の家電100〜200WノートPCなら15〜20時間/テレビ4〜6時間程度
約1500〜2000Wh複数家電の同時使用・長時間利用200〜400W以上電気毛布・冷蔵庫を2〜3日連続運用など

短時間の使用を複数回なのか、長時間の使用を考えているのかで、準備するポータブル電源が変わってきます。

AC出力の上限(W)には注意が必要で、容量があっても出力が足りていなければ機械は動きません。次で詳しく解説します。

出力(W)の必要性

使いたい家電の「消費電力」よりも、ポータブル電源の「定格出力」が高いことが必要です。

出力が足りないと、起動しない、途中で止まる、電源が落ちることがあります。

出力(W)使用できる機器の例推奨される
ポータブル電源
補足・注意点
約100W以下スマホ、タブレット、携帯ゲーム機、LEDライト定格出力150W〜多くの小型モデルで対応可能。ACポート不要の場合もあり
約300W前後小型扇風機、モバイルルーター、ノートPC定格出力400W以上小型ポータブル電源の中でもAC出力付きのモデルが必要
約800W前後電気ポット、炊飯器(小型)、トースター定格出力1000W以上定格出力が足りないと使えない。
約1000W前後ホットプレート、ドライヤー(弱)定格出力1200W以上同時使用は注意。余裕のある出力を選ぶ
約1500〜2000WIHクッキングヒーター、電子レンジ、ドライヤー(強)定格出力2000W以上家庭用電源と同等の出力。大容量モデルが必要
2000W以上多くの家電を同時に使う、業務用機器定格出力2000W〜3000W災害時やキャンプで「家庭用に近い使い方」が可能

ACポートとは、コンセントが挿せる部分になります。出力が低いポータブル電源だとコンセントが使えないものがあるので注意しましょう。

また、普段使用している家庭用コンセントの出力は1500Wになっており、2000Wでブレーカーが落ちるようになっています。普段と同様にコンセントを使用する場合は、定格出力2000W以上のポータブル電源を準備するようにしましょう。

・消費電力の「少し上」を選ぶのが安全(例:炊飯器600W→1000Wモデルを選ぶ)
・ドライヤーや電子レンジなどの高出力家電は必ず2000Wクラス以上が必要
・2つ以上の家電を同時に使う場合は、合計消費電力に注意(1000W+300Wなど)

出力ポートの種類

出力ポートの名前については、普段使用しない人にとって馴染がないので簡単にまとめておきます。

ポートの種類かんたんな説明主な用途・接続機器の例
ACポート家庭用コンセントと同じ形状。100V。ノートPC、家電製品(扇風機、炊飯器、電気毛布など)
USB Type-A一般的なUSB端子。多くの機器で使用されている。スマホ、タブレット、モバイルバッテリー、ライトなど
USB Type-C新しい規格で、高速充電・給電に対応。PD対応モデルも多い。スマホ、ノートPC、ゲーム機(Switch)など
DCポート(シガーソケット)車のシガーソケットと同じ形状。12V出力が多い。車載冷蔵庫、空気入れ、車載掃除機など
DC5521/7909など丸型ポート一部のポータブル電源や専用機器で使用される丸型端子。LED照明や一部の冷蔵庫など(機器側の対応が必要)

ACポートがいくつあるか?:家電を複数使いたい場合は2口以上が便利。
USB Type-CはPD(Power Delivery)対応か?:ノートPCや最新スマホに高速充電可能。
シガーソケットは防災や車中泊で活躍:冷蔵庫やカーアクセサリーに使える。

充電方法とスピード

ポータブル電源は、通常は家庭用コンセントから充電します。
しかし、災害時や屋外では、ソーラーパネルからの充電が重要な手段となります。

ソーラーパネルを使って充電する場合、ポータブル電源の容量に応じて、適した出力のパネルを選ぶことが大切です。
以下の表は、容量ごとのソーラーパネル出力の目安です。

ポータブル電源容量推奨ソーラーパネル出力コメント
~300Wh80W~100W軽量で持ち運びやすいパネルでOK
~600Wh100W~150W日照が不安定なら余裕を持って
1000Wh前後200W前後曇天対策で並列接続も検討
2000Wh以上300W以上 or 複数枚構成長時間の自立運用に向けた設計

ソーラーパネルの出力が100Wあっても、実際は80Wぐらいで充電されます。
・100W:1時間80Whずつ充電
・200W:1時間160Whずつ充電
と思っておくと考えやすいかと思います。

安全性・寿命

ポータブル電源に使われているバッテリーの種類には、大きく分けて「リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)」「三元系リチウムイオン(NMC系)」の2つがあります。

リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)
  • 非常に安全性が高い
  • 発火や爆発のリスクが極めて低い
  • 寿命が長い(充放電サイクル3,000回以上)
  • ⬛ やや重く、コストが高め

防災用途や長期利用を想定する人におすすめです。
家族での使用にも安心感があります。

三元系リチウムイオン(NMC系)
  • 軽量でコンパクト
  • 製品の価格が比較的安い
  • ⚠️ 発火のリスクがリン酸鉄より高い
  • ⚠️ 寿命が短め(充放電サイクル500~1,000回程度)

持ち運び重視のキャンプや短期間の使用に向いています
ただし、高温・衝撃には注意が必要です。

バッテリー種類安全性寿命(サイクル数)重さ・価格向いている用途
リン酸鉄(LiFePO4)◎ 高い◎ 長い(3000回~)△ やや重く高価防災、家庭常備、長期運用
三元系(NMC)△ やや低い△ 短め(500~1000回)◎ 軽くて安価キャンプ、外出、短期使用

寿命が全然違うので、これから準備しようとする人は、「リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)」が使用されているポータブル電源を選ぶようにしましょう。

値段と重量ですが、数年前までは違いが顕著でしたが、2025年ぐらいになるとほとんど変わらなくなっていますので気にしなくて大丈夫です。

防災用途におすすめのモデル【簡単に紹介】

スマホやLEDライトなどの充電に使用するなら

スマホや携帯ゲーム機などを充電するぐらいであれば、小型のポータブル電源がオススメです。

詳しくは、以下にまとめてあります。

冷蔵庫を長時間動かしたいなら

扇風機や電気毛布など細々とした機械や、冷蔵庫を長時間動かしたいなど、多用途に対応する場合は、出力の大きなポータブル電源がオススメです。

詳しくは、以下にまとめてあります。

防災での使用にあたっての注意点

災害時の心強い味方となるポータブル電源ですが、適切に管理・使用しないと性能が落ちたり故障の原因になることもあります。以下のポイントに気をつけてください。

高温・多湿に注意!

ポータブル電源は高温に弱いため、直射日光の当たる場所に置かないようにしましょう。

また、湿気も大敵です。湿度の高い窓際や浴室の近くに置くのは避けてください。

NGな場所の例
× 炎天下の車内
× 夏場の屋外放置
× 結露しやすい窓際や押し入れ

定期的に充電を!

非常時に備えて、ポータブル電源は満充電にして保管するのが基本です。

ただし、長期間放置しておくと自然放電で電池が劣化することもあるため、最低でも3〜6ヶ月に1回は状態を確認して再充電(使い切ってから再び充電)しましょう。

充電チェックの習慣を
→ 季節の変わり目に確認するのがおすすめです(例:春・秋など)

ソーラーパネルの扱い方

使用時の注意

  • ソーラーパネルは日差しをしっかり当てられる場所に広げて使いましょう
  • 角度や影の有無によって発電効率が大きく変わります

保管時の注意

  • 使用後は乾いた布で軽くふいて、湿気の少ない場所にしまうのがベストです。
  • 折りたたみ式はケーブルを挟み込まないように収納してください。

ソーラーパネルも「電子機器」。丁寧に扱えば長持ちします。

水没リスクのある場所では「2階保管」を!

お住まいの地域が大雨時に浸水しやすい、または過去に床上浸水の経験があるという方は、ポータブル電源やソーラーパネルを2階以上に保管することをおすすめします

ポータブル電源は電子機器なので、一度でも水に浸かってしまうと故障や感電のリスクが生じます。

水害のリスクは予測がつかないことも多いため、平常時から高い場所への保管を心がけておくと安心です。

Q&A:よくある質問(FAQ)

防災だけならどれくらいの容量が必要?

最低でも300Wh以上がおすすめです。スマホ・LEDライト・ラジオ程度なら500Whあれば安心です。

ソーラーパネルはどれぐらいの出力が必要?

ポータブル電源の容量が600Wh以下であれば、100W程度のソーラーパネルでも十分に充電できます
ただし、容量が1000Whを超えるような大きなモデルになると、100Wでは1日でフル充電できない可能性が高くなります。

そのため、容量が600Whを超えるモデルを使用する場合は、最低でも200W以上の出力を持つソーラーパネルを準備しておくと安心です

特に災害時や連泊のキャンプなど、太陽光だけで充電を完結させたい場合には、発電効率を考慮して日照時間中に必要量をまかなえる出力を選ぶことが重要です。

あとがき

ポータブル電源が1つしかない場合、ソーラーパネルで充電中は使用できません(使えても充電が遅れてしまう)。また、複数のところで使用したくても使えないです。

そのため、お金に余裕があるのであれば、小型のポータブル電源と大型のポータブル電源をそれぞれ複数持っておくと安心です。井戸ポンプで水を汲み上げるのに1つ、トイレを動かすのに1つといった使い方もできます。

ポータブル電源はレンタルも可能です

「本体を購入するのは高すぎる」
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――このように感じている方には、レンタルの利用がおすすめです。
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Rentio[レンティオ]

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