
キャンプやアウトドアでは、自然の中で過ごす開放感が魅力ですが、その一方で「電源がない不便さ」に直面する場面も少なくありません。スマートフォンの充電やライトの使用に加え、季節によっては電気毛布やミニ冷蔵庫が使えたら便利だと感じたことはありませんか?
そんな時に活躍するのがポータブル電源です。
持ち運びできるバッテリーとして、キャンプ中でも家電が使えるようになるため、快適さと安心感が大きく変わります。
ただし、製品ごとに出力や容量、重さや充電方法が異なり、選び方に迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「キャンプで何を使いたいか?」を起点に、出力 → 容量の順番で、ぴったりのポータブル電源を選ぶポイントをわかりやすく解説します。初心者の方でも失敗しないよう、実際の使用例もふまえて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
キャンプ・アウトドア用ポータブル電源の選び方
出力から選ぶ|使いたい家電の消費電力をチェックしよう
ポータブル電源選びでまず確認すべきなのが「出力(W)」です。
これは、その電源がどれだけの電力を供給できるかを示す値で、使いたい家電の消費電力よりも高い出力があるモデルを選ぶ必要があります。
代表的なキャンプ家電と必要出力の目安
使用機器 | 消費電力の目安 | 備考 |
---|---|---|
スマートフォン | 約10~20W | 複数台同時充電ならUSBポート数も確認 |
LEDランタン | 約5~20W | 長時間点灯するため省電力モデルが便利 |
扇風機 | 約30~50W | 夏キャンプの定番。DCモーターなら省電力 |
電気毛布 | 約40~90W | 冬キャンプでの必須アイテム |
ミニ冷蔵庫 | 約60~100W | 日中の稼働時間が長いため、出力安定性も大事 |
電気ケトル | 約800~1000W | 短時間使用だが高出力が必要 |
出力が足りないと家電が動作しない、または故障の原因になることも。
使用機器の最大消費電力よりも余裕のある出力を備えたモデルを選びましょう。
容量で選ぶ|何時間使いたいかを目安にしよう
出力で候補が絞れたら、次は「容量(Wh)」をチェックしましょう。
容量とは、「どれだけの電力をためておけるか」を表す数値です。
つまり、どのくらいの時間、家電を使えるかに関係してきます。
必要な容量は、使用する家電の「消費電力」と「使いたい時間」によって決まります。
おおまかな目安としては、
消費電力(W) × 使用時間(h) = 必要な容量(Wh)
という計算式で考えるとよいでしょう。
目安となる使用パターンと必要容量は以下のとおりです。
目的・使い方 | 推奨容量(Wh) | 備考 |
---|---|---|
スマホ充電、LEDライト使用(1泊) | ~300Wh | 軽量モデルで十分 |
扇風機や電気毛布も併用(1~2泊) | ~600Wh | ある程度の余裕が必要 |
ポータブル冷蔵庫や複数家電を同時使用 | ~1000Wh | 中型モデル以上が安心 |
連泊での本格使用、調理家電も使う | 1000Wh~ | 大容量モデル、ソーラー充電も検討 |
実際に、HiKOKIの冷温庫「UL18DB」を使ってみて実験したときのものは、以下のリンク先になります。

扇風機は、以下のリンク先になります。

消費電力は、常に一定というわけではなく、使い方によって上下します。
そのため、「どれくらいの容量のポータブル電源が必要か」は、実際に使ってみないと正確にはわかりません。
あくまで目安として考え、余裕を持った容量を選ぶようにしましょう。
出力ポートと充電方法をチェックしよう
ポータブル電源を選ぶ際には、「どんな家電・ガジェットが使えるか」だけでなく、「どうやって充電するか」「どのポートが使えるか」も重要です。とくにアウトドアでは、充電手段の確保とポートの数・種類が快適さに直結します。
ポートの種類 | よく使う機器例 | 補足説明 |
---|---|---|
ACポート | 扇風機、電気毛布、小型炊飯器など | 家庭用コンセントと同じ形状 |
USB-A | スマホ、ライト、Bluetooth機器など | 一般的なUSB機器に対応 |
USB-C(PD) | ノートPC、タブレットなど | 高速充電が可能、今後の主流 |
DCポート/シガーソケット | 車載冷蔵庫、エアポンプなど | 車中泊やオートキャンプで活躍 |
アウトドアではコンセントが使えないケースもあるため、本体の充電方法も重要です。
充電方法 | 特徴 | 向いている用途例 |
---|---|---|
AC充電(家庭用) | 最速・安定。出発前の準備に最適 | 自宅での満充電 |
ソーラーパネル | 電源のない場所でも充電が可能 | 長期キャンプ、停電時の備え |
車のシガーソケット | 移動中に充電できるが、時間がかかる | 車移動の合間にじっくり充電したい場合 |
ソーラーパネルを使うなら、パネルの出力(W)と接続互換性も確認しておきましょう。
バッテリーの種類をチェックしよう
ポータブル電源は精密機器ですが、キャンプやアウトドアでは高温・湿気・ホコリ・衝撃といった過酷な環境にさらされがちです。そのため、長く安心して使うには「安全性」と「耐久性」にも目を向ける必要があります。
ポータブル電源に使われているバッテリーの種類には、大きく分けて「リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)」「三元系リチウムイオン(NMC系)」の2つがあります。
- ✅ 非常に安全性が高い
- ✅ 発火や爆発のリスクが極めて低い
- ✅ 寿命が長い(充放電サイクル3,000回以上)
- ⬛ やや重く、コストが高め
防災用途や長期利用を想定する人におすすめです。
家族での使用にも安心感があります。
- ✅ 軽量でコンパクト
- ✅ 製品の価格が比較的安い
- ⚠️ 発火のリスクがリン酸鉄より高い
- ⚠️ 寿命が短め(充放電サイクル500~1,000回程度)
持ち運び重視のキャンプや短期間の使用に向いています。
ただし、高温・衝撃には注意が必要です。
寿命が全然違うので、これから準備しようとする人は、「リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)」が使用されているポータブル電源を選ぶようにしましょう。
バッテリータイプ | 特徴 | 向いている使い方 |
---|---|---|
リン酸鉄リチウム(LiFePO₄) | 発火リスクが低く、充放電回数が多く長寿命 | 防災・長期運用にも最適 |
三元系リチウム(NMC) | 小型・軽量だが高温に弱く、劣化が早め | 軽さ優先、短期利用向け |
値段と重量ですが、数年前までは違いが顕著でしたが、2025年ぐらいになるとほとんど変わらなくなっていますので気にしなくて大丈夫です。
熱や衝撃への耐性を考えると、リン酸鉄リチウム搭載モデルが安心です。
アウトドアでは「防塵・防水・耐衝撃性」も要チェック
ポータブル電源は屋外での使用も多いため、ちょっとした雨・砂埃・持ち運び時の衝撃に耐えられる設計だと安心です。
- 防塵・防水性能(IP等級)があるかどうか
→ 軽い水しぶきや砂埃を防げるIPX4以上が理想。 - 丈夫なボディ素材かどうか
→ 金属製や補強された樹脂製の筐体は割れにくく、アウトドア向き。 - 持ち運びやすさも耐久性の一部
→ ハンドルの強度や収納性も、長く使う上での重要なポイント。
自然の中では予期せぬアクシデントが起こりがちです。
だからこそ、キャンプ用のポータブル電源は「容量」や「出力」だけでなく、安全性や耐久性も含めて総合的に選ぶのが後悔しないコツです。
キャンプ・アウトドア用途におすすめのモデル【簡単に紹介】
スマホの充電や扇風機に使用するなら
スマホの充電や扇風機を使用するぐらいであれば、小型のポータブル電源で十分です。
詳しくは、以下にまとめてあります。

冷温庫を長時間動かしたいなら
扇風機や電気毛布など細々とした機械や、冷温庫などを長時間動かす、IHクッキングヒーターなど消費電力の大きなものを短時間動かすなど多用途に対応する場合は、出力の大きなポータブル電源を選ぶようにしましょう。
詳しくは、以下にまとめてあります。

使用にあたっての注意点
キャンプ・アウトドアの心強い味方となるポータブル電源ですが、適切に管理・使用しないと性能が落ちたり故障の原因になることもあります。以下のポイントに気をつけてください。
高温・多湿に注意!
ポータブル電源は高温に弱いため、直射日光が長時間当たる場所に置かないようにしましょう。
また、湿気・水没も大敵です。川岸や海辺など水の近くに置いておくのは避けてください。
NGな場所の例
× 炎天下の車内
× 夏場の屋外放置
×川岸や海辺など水のかかる場所
使用する前に満充電を!
長期保管するときは、60~80%で保管しておくのがいいのですが、使用する前には満充電するようにしましょう。
せっかく計算したのに、容量が足りず途中でバッテリーがなくなってポータブル電源が使えなくなってしまうと、何のために準備したのかわからなくなります。
ソーラーパネルを準備しておき、途中で充電できるようにするのもありです。
ソーラーパネルの扱い方
使用時の注意
- ソーラーパネルは日差しをしっかり当てられる場所に広げて使いましょう。
- 角度や影の有無によって発電効率が大きく変わります。
保管時の注意
- 使用後は乾いた布で軽くふいて、湿気の少ない場所にしまうのがベストです。
- 折りたたみ式はケーブルを挟み込まないように収納してください。
ソーラーパネルも「電子機器」。丁寧に扱えば長持ちします
よくある質問(Q&A)
- 電気毛布は何Whあれば一晩使えますか?
-
消費電力50W × 8時間 = 400Wh → 500Wh程度のモデルで余裕をもって対応可能です。
- 機器の消費電力がポータブル電源の出力を超えるとどうなりますか?
-
使用できないか、自動的に停止します。常に「ポータブル電源の出力 > 機器の消費電力」を守りましょう。
- 直射日光のもとに置いてもいい?
-
高温や直射日光、湿気には弱いため避けてください。特に車内や窓際の放置は危険です。
あとがき
冷やすよりも温める方が消費電力が大きくなるので、冬場のキャンプなどで暖房器具を持っていこうとすると出力と容量の大きなポータブル電源が必要になります。
夏場は、ポータブルエアコンやIHクッキングヒーターを使わないのであれば、小型のポータブル電源で十分まかなえると思います。
ポータブル電源を購入する際は、「何を動かしたいか」「何時間動かしたいか」をはっきりと決めてから購入するようにしましょう。
コメント